よくある質問

どのような検査か?

心臓非造影検査

心臓非造影CT検査は、造影を行わない検査で、被ばくが極めて低く、患者さまを選ばないのが特徴で、腎不全の患者さまも受けることが可能です。冠動脈硬化の進行の程度とリスクを、石灰化をメルクマールとして判定します。狭窄病変の程度は評価できないものの、膨大なエビデンスがあり、無症候性の患者さまが、造影CTを行うかどうかの判断等に使えます。

また、薬物治療を行う前に施行しておくと、経年的に動脈硬化の進行の程度を評価できます。冠動脈検査についての「(1)非造影冠動脈硬化検査」も合わせてご参照ください。

心臓造影検査

冠動脈CTAはX線診断の1つに分類される非観血的検査法です。確実に冠動脈のイメージを得て、狭窄病変の特定と計測並びに、冠動脈壁の非石灰化プラークの検出のために、ヨード造影剤を経静脈的に投与します。また、良いイメージを取るために、冠拡張剤の薬剤の投与も行います。 以前は、患者さまの心拍数を安定させるためにβ遮断薬も使用することがございましたが、 当院導入のマルチディテクタCTでは最新のアルゴリズム(Beat to Beat Delay algorithm)を採用し、 心拍変動に対応できるMax Cycle Systemを採用しており、高心拍・心拍変動にも対応できるため、基本的には薬物使用しない方針で行っております。 管球より出たX線は体を通過して特殊な探知器で検出されます。 一般的にこの検出器の数が多いほど(特に16以上)、より短時間に広い範囲を撮影できる。 そのため、冠動脈CTAは『マルチディテクターCTスキャン』、または『マルチスライスCTスキャン』と称されます。 当院採用のCTは64と256の検出器をもつCTですから『64または256マルチスライスCT』と称されます。 冠動脈CTA検査の間に収集された情報は、コンピュータのスクリーン上に3Dイメージ画像として表示され、 冠動脈の狭窄と共に、プラークが存在すれば確認できます。

3Dイメージ画像
バイパス術後の長いスキャンも短時間で撮影でき従来よりも息止め時間が短くて済みます。

解析画像
右冠動脈に中等度狭窄病変を認め、CT値の低い非石灰化プラークを認めます。

冠動脈CTA検査は、心臓カテーテル検査(選択的冠動脈造影法)とどのように違うのか?

最も一般的な心臓の画像検査といえば、選択的冠動脈血管造影法、または心臓カテーテル法です。 この検査法は、大腿や上肢の血管から観血的に冠動脈に挿入されたカテーテルを通してヨード造影剤を選択的に冠動脈に注入することにより、 血管内部を流れる造影剤を撮影して冠動脈の狭窄部分を見つけることができます。 冠動脈血管造影法は、冠動脈CTAが出現してもカテーテルに基づくインターベンション(例えばステント治療)や、 手術を行う必要のある冠動脈の狭窄を評価するための検査としてはゴールドスタンダードです。

一方、この新しいCTテクノロジーは、ライフスタイルの改善や薬物療法を行うことなしに放置された場合に、 将来問題に至るかもしれない主要冠動脈の重要な狭窄を除外する能力と、非観血的に血管壁のソフトプラーク(脂肪沈着)を検出する能力を持っています。 もともとは、高い陰性的中率で、冠動脈有意狭窄病変の除外診断が中心でありましたが、最近では、狭窄病変の検出や狭窄の原因であるプラーク評価等、多彩な解析を行うことが可能となり、国内でも広く臨床の現場で用いられています。

解析画像
このような、CT画像の場合、冠動脈有意狭窄病変の除外診断が可能である。

冠動脈CTAを受ける患者様へのアドバイスは?

患者さまが冠動脈CTAを受けるにあたって重要なことは、 冠動脈CTAから得られる有用な情報の質と量、一方それに伴う一般的なリスクを検査前に医師と患者様の間で十分理解してコンセンサスを持つことが重要かつ必要です。 すなわち冠動脈CTAの適切な適応と、X線被ばくとコントラスト剤の使用(アレルギー反応と腎障害)などの若干の危険を伴うということに対する患者様の理解を得る必要があるということです。

さて、最も適切なCTAの適応は…

  1. 典型的な冠動脈疾患の症状(労作時の胸痛、息切れ、疲労)のない中等度から高度の冠動脈疾患のリスクを持つ患者様
  2. 一般的でない冠動脈疾患の症状(身体活動に無関係な胸痛)を持つ、低いあるいは中等度の冠動脈のリスクを持つ患者様
  3. 不明または確定的でないストレステストの結果を持つ患者様(トレッドミル検査や負荷心電図等)

このようなタイプの患者様のために、冠動脈CTAは、冠動脈の狭窄の有無だけでなくプラークの分布や広がりといった、心臓内の情報を主治医の先生に御提供できるものと考えます。また、冠動脈CTAは、冠動脈の狭窄による胸部不快感だけでなく、他の心臓あるいは心臓外の原因による胸部不快の原因を示唆できることもあります。

先生方の外来診療時に、胸部の症状を認めるリスク患者様で、種々の検査を行っても、原因が不明確な患者様に対して、この検査をご提案して頂きたいと思います。そして、心臓MDCTの情報(狭窄やプラーク解析や機能解析)が、先生方の心疾患の診断や治療の指針に、お役立にたてれば幸いかと思っております。

どのような患者さまに冠動脈CTA検査をお勧めできないか?

種々の検査により冠動脈が狭いという明白な所見を持つ患者様は、 診断と治療が可能な心臓カテーテル法をお勧めしております。 治療に即直結できるという観点から冠動脈CTAは冠動脈造影法の十分な代わりとは考えておりません。 例えば、労作時の典型的な胸痛や既知冠動脈疾患、心臓発作の病歴を持つ、あるいは既往を持つ患者様や、負荷検査で明らかな陽性の患者様は、 早期治療という観点から、重複する診断のために費やす時間と医療費負担を節約するためにインターベンション(ステント)等の治療に直結した冠動脈造影を優先的にお勧めいたします。

桜橋渡辺未来医療病院心臓血管センターで行う1回のCT検査で、どのような情報が得られますか?

カルシウムスコア検査(非造影CT検査)では、石灰化スコアと内臓脂肪測定の結果が得られ、冠動脈リスクレポートとして、リスク判定結果を報告いたします。

一方、造影CTは、MDCTから得られた膨大な情報は、センター内のワークステーションで撮影後直ちに処理されます。 そして、最終的には、患者様のCTAレポートが作成されます。 CTAレポートは、4つの大きなカテゴリー(冠動脈造影レポート、冠動脈プラークレポート、左室機能レポート、心筋性状レポート)からなります。 冠動脈造影レポートでは冠動脈の狭窄の判定結果を、 冠動脈プラークレポートは冠動脈のプラーク情報を、 左室機能レポートはCTでの左室機能の評価を、 心筋性状レポートは心筋の性状(壁厚や造影状態)をそれぞれ報告いたします。

また、複数回の検査を施行された患者さまについては、必要に応じてプラークの解析結果の比較報告が追加されます。また、左室機能の低下している患者さまについては、特に、Dissynchrony等の報告も追加されます。

原則的には、翌日郵送発送となります。E-Mailなどでの送信は、誤送信などによる患者情報の漏えいにつながりますので対応しかねます。

早期の治療(薬物治療・冠動脈形成術・バイパス術)を要する患者さまは、患者さまより、ご紹介医療機関の再受診日をお聞きして、ファイナルレポートをファックス送信させていただき、再診の日程調整をさせて頂くとともに結果を患者さまに持参いただくこともございます。

電子カルテでご利用いただく場合は、レポートは電子媒体にPDFなどのフォーマットで対応させていただくことも可能です。

レポートイメージ
各種レポートは、実際の診断画像とテキストデータを作成して御送付いたします。

冠動脈CTAを受けるための手続きはどのようにしたらよいか?

このたび、桜橋渡辺未来医療病院から心臓CT イメージングをご提供するにあたりまして、 患者さまならびに主治医の先生方とのより良いパートナーシップの確立と、 安全でクオリティの高いイメージングサービスを、スムーズにご提供させていただくために、 桜橋渡辺未来医療病院では以下のサービスをご提案、ご提供しております。 ご利用にあたりいくつか注意していただく点がございます。

大切なことは、若い患者様(特に女性、子供)の不必要なX線被ばくは避けなければなりません。 また、過去の重大なアレルギー反応の既往患者さま、 腎臓機能の低下(クレアチニン1.8mg/dL以上)の患者さまは、 除外規定と位置づけております。

以上の観点から、患者さまと主治医の先生とのよりよい診療のサポートとしまして、 当院では3つのサービスをご提案いたします。

  1. CTAを受ける前に、患者さまが心臓専門医と一緒に、症状や心臓リスクからCTAの適応と安全性を判断する必要がある場合は、 桜橋渡辺未来医療病院 地域医療連絡室 循環器専門医外来紹介 06-6676-8257で専門医の外来予約をお取り下さい。 循環器専門医により検査の必要性をアドバイスさせていただきます。
  2. 御紹介いただく先生方により、CTAが適切で患者さまにとって安全で適応があるとご判断された場合は、 桜橋渡辺未来医療病院 地域医療連絡室06-6676-8257 で直接検査予約を行うことができます。 また、Fax 06-6676-8258 でもご予約いただけます。 さらにインターネットからは「検査予約」メニューの「造影冠動脈CT検査予約」もしくは「非造影冠動脈硬化検査予約」から、患者様のお名前と主治医の先生のお名前を入れてご希望の検査日検査時間の予約を自由に登録することが可能です。 ただし新規医療機関様は、事前登録をファックスで行うことが必要です。 詳細につきましてはメニューの「新規医療機関の登録について」をご覧下さい。
  3. ご不明な点、ご相談等がございましたら 06-6676-8257までご連絡下さい。 CTの担当者が対応させて頂きます。 受付時間は、平日(月曜日から金曜日)午前9時~午後4 時までです。

連絡先

  1. 電話予約: 06-6676-8257
    (受付時間 午前9:00~午後5:00)
  2. ファックス予約: 06-6676-8258
    (受付時間 午前9:00~午後5:00)
  3. インターネット予約:http://www.watanabe-hsp.or.jp/
    桜橋渡辺未来医療病院のホームページから予約して下さい。
    (受付時間 午前6:00~午後9:00)
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